版画のサイン・エディション・鑑定機関などについて(1)

版画のサイン・エディション・鑑定機関などについて

絵画を購入をご検討されている皆様のために、絵画(今回は主に版画作品)に付随する様々な情報について説明したいと思います。

◆版画のサインについて
最も一般的には署名は鉛筆でされます。
作家が版画に署名を入れ始めたのは19世紀の終わりからで、それまでは版画には署名は入れられませんでした。署名が入るのは特別に友人や知人に贈呈した際に献辞と一緒に名前が書き入れられる場合に限られていました。
1870年以降から、マリー・カサット(1844~1926・アメリカ) ジェームス・アンソール(1860~1949・ベルギー)が全ての版画に鉛筆で署名を入れるようになってから、この習慣が広がって行ったようです。

◆エデョションについて
エデョションとは、版画作品の印刷限定数になります。
「エディションは300」といえば、限定部数が300部ということになります。

この、版画に限定数を決めることは1930年代から始まりました。なので、それ以前の作品にはエデョションのない作品も数多くあります。

またこのエディションは、作家や版元が作品限定数を保証し、販売を目的として摺られたものに付けられます。

エディションについては、「20/300」と記載あれば、「300部のうちの番号20の作品」ということになります。
また、エディションの表記については上記のように数字以外に下記のような記載のある作品もあります。

AP(EA):【Artist Proof】 【Epreuve d’artiste】作家保存用
PP:【Present Proof】 贈答用 、【Printers Proof】 刷り師用
TP:【Travellers Proof】 巡回展示用
HC:【Hors Commerce】 非売用
BAT:【Bon Atirer】(ボン アティーレ)最適な刷り。刷り師が作家に見せて許可をもらうための作品。通常エディションの手本。
Essai:仏語で試し刷りのこと

※ご参考まで、以下は、クリスチャン・リース・ラッセンの作品で記載されるエディション表記です
I・:【International】、CRL・・・【Christian Riese Lassen】、GL・・・【Gallery Lassen】

◆エディションは、ローマ数字で記載される作品もあります。(例えば、笹倉鉄平さんの作品などで見られます)
I…1  II…2  III…3  IV…4  V…5  VI…6  VII…7  VIII…8  IX…9  
X…10  XX…20  XXX…30  XL…40  L…50  LX…60  LXX…70  
LXXX…80  XC…90  C…100  CC…200
例えば、CLXXXIX/CC は、189/200 です。

◆オリジナル版画について
オリジナル版画と言う概念は、いくつか有り判断基準が分かれております。
一番厳格な分け方をする場合は、

作家が自分で原画を考えて、自分で版を作り、自分で刷った作品のみをオリジナル版画と考え、それ以外は全て複製版画と見る分け方です。
しかし、この考え方では、現在では範囲が狭すぎてあまり妥当な概念とは言えなくなっています。
現在、日本で通常、オリジナル版画と呼ばれる作品の要件は次の2点です。

1.版画を制作する目的で原画作品が制作されている事。
2.作家自身がその刷り上がった作品を確認・監修している事。

つまり版を作家自らが制作する事、サインの有無等はオリジナル版画である要件ではありません。
浮世絵などは、まさに作家、彫り師、刷り師の分業によってその作品が作られてきたことを考えても、要件はこの2点になると言えるでしょう。

一方で、オリジナル版画以外の版画は、「エスタンプ(複製版画)」と呼ばれています。
但し、エスタンプもその作品によりオリジナルに近い価値を持つ作品もあります。
シャガール、ビュッフェのムルロ工房・ソルリエ版や、ピカソ、ブラックのジャック・ヴィヨン版などがそれにあたります。

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