まさに水墨画を彷彿させるこのマチエールは、東山魁夷が 長い間、心に秘めていた、深い精神性を持つ水墨画への憧憬でした。 当時東山魁夷は唐招提寺障壁画揮毫の依頼を契機として、色彩を極限まで 抑えた水墨画への世界へと進んでいきますが、この作品は基点の作品であるといえます。 ”雲湧く嶺”は岩絵の具で色彩しつつも、色調を渋く、塗り重ねを薄くすることで 水墨画の雰囲気に近づけようとしている様子が伺える作品です。 1976年、岐阜県奥穂高にて。