「山嶺湧雲」は、幽玄にそびえる山嶺に雲が湧きいづる・・・画面いっぱいに広がる夢想の世界は、唐招提寺障壁画製作後に完成した 名画として有名です。水墨画の極みを体得していく試みとして、東山魁夷はこの作品で岩絵の具で彩色しつつ、色調を渋く、塗り重ねを薄くすることで水墨画の領域に近づけようと試みました。この1977年北アルプス奥穂高の山景の、落ち着いた青を重ねて山の木々を描き出し、山間に漂う霧や冷気から、人の立ち入れないほどの深さに広がっている様子が伝わってきます。