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ホーム|美術と法律 What to know !!
美術と法律
美術と法律
一見無縁そうな美術と法律ですが、知らないとトラブルを招くこともあります。 そんなちょっとした知識を判りやすく説明します。

著作権について

弁護士小川原優之
銀座東法律事務所
03-3545-2151

皆さんも著作権という言葉を耳にしたことがあるかも知れません。われわれ弁護士も最近は著作権に関する相談を数多く受けるようになりました。
 先日、パソコンで美術品に関する判例を検索していたら、チョット面白い判例があったので、事案を簡略化し名称を変更してご紹介しましょう。
 ある美術工房(Aといいましょう)が、フグというタイトルの行灯(あんどん)を製作していました。これは石の中に空洞をつくり、フグの口のような半円形の明かり窓をあけ、窓から石の中の水にロウソクが浮かんでいるのが見えるようにして、幽玄な空間を表現するもので、とても芸術的な作品でした。ところで、ある販売業者(Bといいましょう)が、以前、Aの作品の博覧会を開催したこともあった業者なのですが、Bは、何を思ったのか、フグと似た行灯を作って売り出しました。陶器製の容器に、木をかたどった明かり窓をあけ、中に水を入れロウソクを浮かべたのです。
 Aは著作権を侵害されたとしてBを訴えたのですが、皆さんはどちらが勝ったと思いますか。

答えのタイトル

そもそも著作権とはどのような権利なのでしょうか?
著作者が、創作した著作物に関して有する権利には2種類あります。1つは、複製権(無断で複製されない権利。著作権法21条)や改作利用権(著作物である原作品をもととして新たな著作物を作る権利。27条)などの著作者が著作物に対して有する財産的利益を保護する権利で、「著作権(財産権)」などといわれます。
 もう1つは、同一性保持権(無断で改変されない権利。20条)など著作者が著作物に対して有する人格的利益を保護する権利で、「著作者人格権」などといわれます。この両者の権利をあわせて「著作権」ということもありますし、「著作権(財産権)」だけを「著作権」ということもあります。
 著作権が認められる場合には、原則として、著作者の承諾を得ておかなければ、著作物を利用することはできません。著作者からの承諾は書面によるものに限られるわけではありませんが、後日の紛争を避けるためには、書面によるほうが望ましいといえます。
 フグの事例では、BはAの承諾を得ておらず、そこで紛争になったわけです。
著作権を侵害したかどうかは、どのように判断されるのでしょうか?
 著作権(財産権)としては複製権や改作利用権が、著作者人格権としては同一性保持権が、問題となるわけですが、裁判所は、これらの権利に対する侵害の有無は、原作品における表現形式上の本質的な特徴自体を直接感得することができるか否かにより決められなければならないと判断しました。つまり、Aの作ったフグの行灯の「表現形式上の本質的な特徴自体」を、Bの作った行灯から「直接感得することができれば」著作権侵害となり、そうでなければ著作権侵害とはならないというのです。
 そして裁判所は、フグの表現形式上の本質的特徴は、石の素材とフグの口のような横長の半円形の明かり窓とその中の水に浮かべたロウソクからもれる光とが相まって、石の中に現実とは違う空間が潜み、それが石の裂け目からのぞいているような神秘的で幽玄な世界を表現していることにあるというのです。他方、Bの行灯は、外見は一見して陶器とわかるもので、明かり窓も木をかたどっており、たとえ内部に水を満たして浮きロウソクをともしたとしても、フグの本質的特徴部分を直接感得できないというのです。
 こうして裁判所は、著作権侵害を否定し、Aの請求を認めなかったのですが、皆さんは、相当、微妙な判断だとは思いませんか。
作風が似ていることは問題とならないでしょうか?
 確かに、少なくとも作風は似ている気がします。この点はどうなるのでしょう。
 著作権侵害にならないのでしょうか。実は著作権は、それそれの著作物の具体的な構成と結びついた表現形式から直接感得できる部分に限られ、アイデアやイメージ、作風などの抽象的な部分には及ばないとされているのです。ですからBの作った行灯の作風が、Aの作ったフグの作風と似ていたとしても、Aの著作権を侵害したことにはならないのです。
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まとめ画像

 どうですか、皆さんの判断と一致していましたか。著作権法は、著作物の例示として、「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」をあげており、美術の世界と著作権は密接な関係があります。そもそも著作権法の目的は、著作者の権利等を定め、「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」とされています。本当に「文化の発展に寄与すること」になるのかとか、これほどややこしい議論が本当に必要なのかとか多少疑問もあるのですが、弁護士の私としては、やむを得ないこととして、ため息をひとつついて、またパソコンの画面に視線を戻し、判例を読み進めることとなるわけです。この文章が、皆さんのご参考になれば幸いです。

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