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ホーム|美術と法律 What to know !!
美術と法律
美術と法律
一見無縁そうな美術と法律ですが、知らないとトラブルを招くこともあります。 そんなちょっとした知識を判りやすく説明します。

相続について

弁護士小川原優之
銀座東法律事務所
03-3545-2151

ある男性が、不動産も、金融資産も使ってしまって、死後唯一遺されていたのは1枚の絵画だけでした。この絵画、ずっとある美術館に貸し出していた作品で、東京美術クラブの鑑定書が付いていて、ある美術商の評価では、最低でも4千万円はするとのことでした。この男性の自筆の遺言書があり、死後、その絵画は、貸してある美術館に寄贈すると書いてありました。この男性には、妻と子供2人と母と兄がいました。さて、この場合、どういう法律問題が起こるのでしょうか。

答えのタイトル

相続人は誰で、法定相続分はどのくらいですか?
 死亡した男性のことを被相続人といいますが、被相続人に子供がいる場合、母(直系尊属)や兄には相続権がありませんし(民法889条)、また妻(配偶者)は常に相続人となりますから(同890条)、相続人は妻と子供2人の3人となり、その法定相続分は、妻が2分の1、子供はそれぞれ4分の1となります(同900条)。
この遺言書は有効なのですか?
 遺言は、民法に定める方式に従わなければこれをすることができない(民法960条)とされており、自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりません(同968条)。他人に代筆してもらっても、ワープロで印字しても駄目ですし、日付は「吉日」のような記載では駄目です。遺言書に加除・変更をした場合は、その旨を付記し、かつその加除等の場所を指摘しその箇所に印を押すことになっています(同条但書)。印は、実印ではなく認印でかまいませんし、指印についても最高裁の判例で有効とされています。

ですから、これらの要式を充たしていれば、この遺言書は有効となるのです。ただ、自筆証書遺言の場合、遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所へ提出して、検認を受けなければなりません(同1004条)。検認とは、遺言書の存在する状態を保全する手続きで、家庭裁判所は、通常は遺言書のコピーをとって検認調書に添付し、また立ち会った関係者から遺言書の保管されていた状態や、発見された経緯等を聞き、それらの結果を検認調書に記しておきます。

また遺言書が封印されている場合、勝手に開封してはならず、家庭裁判所において相続人やその代理人の立ち会いのもとで開封しなければなりません(同1004条)。
このような遺言書があれば、相続人には全く権利がないのですか?
 自筆証書遺言が民法の定める方式を充たしていれば、その遺言書は有効です。また民法は、遺言者は、包括または特定の名義で、その財産の全部または一部を処分することができる(民法964条)と定めていますから、唯一の財産である絵画であっても、美術館に寄贈(遺言書による処分を遺贈(いぞう)といいます)することができます。

ただ民法964条には但書があり、遺留分(いりゅうぶん)に関する規定に違反することができないと定めています。この遺留分とは、被相続人(遺言者)の相続財産の一部を相続人のために残す制度なのですが、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があります(民法1028条。兄弟姉妹には遺留分がありません)。妻と子供が相続人の場合、遺留分は被相続人の財産の2分の1とされており(直系尊属のみが相続人の場合は遺留分は3分の1です)、妻は法定相続分が2分の1ですから遺留分は4分の1、子供はそれぞれ法定相続分が4分の1ですから、遺留分は8分の1になります。

このように唯一の財産である絵画を寄贈するという遺言は、遺留分に関する規定に違反するわけですが、遺留分を侵害する処分は当然に無効になるわけではなく、有効であり、ただ遺留分を侵害する限度で、後述するような相続人からなされる遺留分減殺請求権(げんさいせいきゅうけん)の行使に服するだけであると解されています。
子供の1人だけが遺留分の減殺を主張し、妻や他の子供が主張しない場合どうなるのですか?
 このようなことも勿論あり得ます。この場合、その子供の遺留分は8分の1ですから、遺留分減殺請求権の行使によって、絵画の8分の1はその子供のものとなり、絵画は美術館(受遺者といいます。持分8分の7)とその子供(持分8分の1)の共有となるわけです。ただ、受遺者は、遺留分減殺請求権の行使を受けたときは、減殺を受けるべき限度で遺贈の目的物の価格を金銭で弁償して返還の義務を免れることができる(民法1041条)とされていますから、美術館としては8分の1の金銭(絵画の評価が4000万円であれば、その8分の1の500万円)を弁償して、絵画を確保することができるわけです。
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まとめ画像

 さて冒頭の事例についての一般的な説明はこの程度ですが、実際の紛争はこんなものではすみません。まず、自筆証書遺言がはたして本当に「自筆」なのかが争われるかもしれません。その時は、筆跡鑑定が必要となります。このような紛争を避けるためには、公正証書遺言が望ましいと思います。また、絵画が美術館に貸し出してありますが、例えば妻が保管していたらどうなるのかとか、さらに複数の絵画があった場合にはどうなるのかとか、ややこしい事態もあり得ます。そのような場合には、遺言の執行者を遺言で指定しておくほうが望ましいでしょう。また絵画の評価額が争われることも当然予想されることだと思います。

相続をめぐる紛争は、いったんこじれると長期化する場合も多いですし、公正証書遺言を作成する等あらかじめ対応を準備することも可能なわけですから、早めに法律事務所にご相談になるほうが良いと思います。

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