レンブラントは誰の手に
— 2021年3月16日レンブラント(1606年7月15日 – 1669年10月4日)の名前はだれでも、一度はお聞きになったことがあると思うのですが(学校の美術の教科書で、ネーデルラント連邦共和国、現在のオランダの画家で同じオランダのフェルメール、イタリアのカラヴァッジョ、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスなどと共に、バロック絵画を代表する画家の一人とされている、あのレンブラントです)、その映画を観て来ました。
「レンブラントは誰の手に」というドキュメンタリー映画なのですが、自分の家にレンブラントが飾ってある家ってどんな家だと思います。寝室に、レンブラントの描いた肖像画が2点(マールテンとオーブイエという御夫婦の肖像画のようです)が飾られている家に住んでいらっしゃるのは、エリック・ロスチャイルド男爵です。映画に出てくる肖像画は大作で、まさに「光と影の魔術師」と呼ばれたレンブラントの作品そのものなのですが、さすがにロスチャイルド家で、重厚な部屋の雰囲気や家具が、レンブラントにピッタリ合っています。うーーむ凄いと感じいるのですが、そこで男爵が一言、「税金の支払いのため、売る」と仰るのです。
そこでフランスのルーブル美術館とオランダのアムステルダム国立美術館が獲得に動き出すのですが、事態はいつしか、両国の政治家たちまで巻き込んだ大騒動へと発展していきます。そこまで大事(おおごと)なのかと正直思うのですが、なんとか共同購入で落ち着いたようです。その金額が日本円で約200億円と言うのですから、日本人の私には・・・・
そしてじゃあ新しくレンブラントの絵が見つかったら、どうなるのというのが、この映画です。
1人の目利きの画商がいます。ただの画商じゃありません。すごいイケメンで俳優かと思ったのですが、ドキュメンタリー映画でご本人のようです。その名も、ヤン・シックス11世で、レンブラントの友人でパトロンでもあった貴族ヤン・シックス家の方だそうです。レンブラントが描いた「ヤン・シックスの肖像」のモデルとなった初代から数えて11代目だそうで、おそらく子供の頃からレンブラントを見慣れているのでしょう。
もともとレンブラントは大きな工房を運営し、多くの弟子を抱えていたことで知られていて、スタジオで製作した作品や複製した作品などが混在する状況となっているそうです。レンブラント作と、レンブラント工房の作では、値段が天と地ほども異なるのでしょうが、その差異を判断することは極めて難しいようです。
ところが、ヤンは、2018年、クリスティーズのオークションで、「レンブラントの周辺作」とされた「若い紳士の肖像」を落札し、そしてレンブラントの真作だと発表したのです。ヤンには、この作品が、レンブラントの真作だと確信があったのかもしれません。真作か贋作か、専門家、美術史家、マスコミも加わって大騒ぎになります。映画の雰囲気では、真作と決まった?ようですが、後からヤンと共同購入するはずだったと言い出す画商まで出てきて、ヤンに裏切られたと抗議していました。
これは一体「何の映画なのかしら」と聞きたくなるところですが、この映画を撮影したウケ・ホーヘンダイク監督(女性です)によれば、「本作は、教育のためのドキュメンタリーではなく、物語を追いながらドキドキしてしまう、むしろフィクション映画であり、主役は、レンブラント本人ではなく、登場人物たちのレンブラントへの情熱なのです。」とのことです。
確かにヤンを見ていると、「レンブラントへの情熱」をとても強く感じます。
私も画商として考えさせられるところがたくさんあったのですが、画商にとって審美眼はとても重要です。日頃たくさん良いもの見ていると、知らぬうちに、作品の真贋を見極める目ができてきます。ヤンのようにです。
また画商を長くやっていて、なかなか扱えないような名画を扱えることは画商冥利につきることです。レンブラントの真作を見出したと確信したヤンが、夢中になるのは、画商としてよく分かります。 男爵の作品をめぐる大騒動にもあったように、アートとお金が切り離せないとしても、やはり名画と出会い、良い作品を扱える、これは画商にとっては何より幸せな気持ちなれることだと思います。
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