長野市にある「いきものの森」を訪ねて
— 2025年9月24日長野市は善光寺の門前町として発展したところで、平安時代の文献には既に信濃の国の善光寺の名前があり、10世紀以前からある様ですから、燃えたり復興したりを繰り返しながらも、少なくとも1000年以上は続いているお寺なんでしょうね。本堂の前には、大きなまんじ卍が書かれていて、ナチスのハーケンクロイツ(鍵十字)を連想してギョッとしたりもするのですが、ナチスは逆まんじ卐ですもんね。
去年も善光寺にお参りし、近くにある長野県立美術館 東山魁夷館へいき、よもやま話を書いたのですが(善光寺参りと東山魁夷)、今年も善光寺にお参りして来ました。
今年は、2025年7月19日〜9月15日まで長野県立美術館で展示されていた「いきものの森」を訪ねたのですが、とても面白かったですよ。日曜日ということもあり、子どもたちもいっぱい遊びに来ていました。
美術館に入ると、すぐに大きなキリンが居ます。
オオッと驚くのですが、乾漆彫刻家の大曽根俊輔(おおそね・しゅんすけ)さんの作品です。
他にも、バイソンが居たのですが、これがまた凄い。
乾湿造とは、漆工の技法の一つで、 麻布や和紙を漆で張り重ねたり、漆と木粉を練り合わせたものを盛り上げて形作る方法なんだそうですが、経歴を見ると「京都にある美術院 国宝修理所に入所、仏像の修復に携わる(2015年退所)。修復の仕事で培った技術を元に、主に乾漆の技法を用いて動物彫刻の制作を行う」方なんだそうですが、やはり一味違うなあと感じました。
このバイソンはドッシリしていて、存在感があり、大きな木でもくり抜いて造ったのかしらんと思わせるほどでした。
子どもたちは、ペンギンも喜んでいましたね。
あと私のお気に入りは、富田菜摘(とみた・なつみ)さんの作品です。富田さんは、金属廃材の動物作品や、新聞紙や雑誌を素材にした人物作品など、身近な素材を用いてユニークな作品を制作しているアーティストです。私も何点かコレクションしているのですが、展示されている作品の中では、
鹿やラクダがとても面白くて印象に残りました。実は私の画廊にもうさぎの作品など飾っているんですよ。
富田さんは、実際にお会いすると大変気さくでチャーミングな方でした。
富田さんのアトリエに、ファンのみなさんが材料を集めて持ってきてくださるというお話しを伺い、熱心なファンがいらっしゃるんだなと感心しました。本当によくできていて、作品を作っていくにあたって結構な手間と時間がかかっているのが分かります。
うちにいたトナカイの作品もお客様のところにお嫁に行ったのですが、そのお客様も富田さんの展覧会に行かれてと直接富田さんにお会いしたようで、作品を通していろいろなご縁ができるのも素晴らしいと思いました。
この他の作家さんは、
岡江真一郎(おかえ・しんいちろう)さん(アニメーション作家)。
田中 彰(たなか・しょう)さん(木版画家)。
冨岡奈津江(とみおか・なつえ)さん(陶芸家)。
こちらのゴリラは、冨岡奈津江さんの作品で陶器でできているのですが、すごく迫力がありました。
また、もうひとり、ミロコマチコさん(画家・絵本作家)の作品が展示されていたのですが、ライブペイティングを会期中にやっていたそうです。
ビデオで描いている状況を見ましたが、あっという間に即興で思うままに描いていたけれど、抽象の作品を描くのかなと思っていたら、まさかの動物(オオカミ?)の絵でした。
実際に完成されたミロコさんの作品は、描いている途中と完成で「えーこんなに違ってくるんだ!」と思うくらいで、制作過程で布や紙をキャンバスに貼り付けていたのも印象的でしたが、最終的に動物の形がしっかり出てくるのには驚きました。
私は、「いきものの森」を訪ねた後で、やはり東山魁夷館へも寄ったのですが、全く違うアートの世界を体感しました。そこはまさに東山ワールドで、今回は、週刊新潮の表紙絵のために描いた作品「季の詩」「夢の詩」の原画が見られたことがとても良かったです。
東山さんは抽象的な絵もすごく上手かったんだとよく分かりました。東山というと山雲や海などのイメージですが、抽象的な洒落た作品も描けるのはさすがだと感心しました。
「霧の山峡」、「山雲」の復刻版画はよく見ることがありますが、実物(原画)の「山雲」は、深みがあり、写実的ではあるけれど幻想的で、思わず吸い込まれるような精神性の高い作品でした。
現代作家のエネルギーを感じたあとに、長野美術館で東山ワールドも存分に味わうことができて、とても充実した一日になりました。
涼しく過ごしやすい秋に、長野県立美術館の展覧会などへ是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
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