日本人の桜とダミアン・ハーストの桜
— 2022年5月27日国立新美術館で、ダミアン・ハーストの桜を観ました。 大きい作品は縦5メートル、横7メートルもあり、すごい迫力があり、「わー綺麗だなあ」「すごいなあ」と素直に感動しました。 でも日本人の描く桜とは、ずいぶん違うなあと思い…
奈良は、華美な京都と違い、鹿が緑豊かな公園の中を自由に歩き回っていて(カフェのご主人のお話では「野良鹿」だそうです)、素朴な味わいのある所なのですが、奈良にある仏様のお顔も、京都とは一味違います。法隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)も、興福寺の阿修羅像も、そして聖林寺十一面観音像も、「何て美しいお顔なのかしら」とつい見惚れてしまいました。
この観音像は、「三輪山信仰のみほとけ」だそうです。三輪山に行ったことは無いのですが、三輪山は、奈良県桜井市にあるなだらかな円錐形の山で、古来、山中には神霊(しんれい)が鎮(しず)まる岩が点在し、磐座(いわくら)と呼ばれて信仰の対象となっていたそうです。日本では、古くから神様と仏様が同居されていたんですね。神様と仏様ってどういうご関係なのかしら、どっちが偉いのかしらと思ったりもしますが、孫悟空の活躍する西遊記では、神様の手に負えなかった悟空をお釈迦様が抑え込んでいましたから、やっぱり仏様の方が偉いのかしらん。
三輪山と言えば、思い起こされるのが、棟方志功が文芸評論家の保田與重郎(やすだよじゅうろう)の詠んだ和歌を、その折々に版画にした「炫火頌」(かぎろいしょう)32作品で、その中には三輪山が出てくるものがあります。
もっとも版画の中に「三輪山」と書かれている作品(夜目遠目の柵)だけではなく、「三わ山」と書かれた作品(美輪山の柵)もあり、棟方の遊び心の表れなのでしょうか。実は私には、「炫火」という言葉の意味もよく分からないですが。
私が以前取り扱った作品に「釈迦十大弟子」という、棟方の名作中の名作があります。棟方は、第二次世界大戦中、富山県に疎開して浄土真宗にふれ、仏様を題材にした作品を多数製作しているのですが、この「釈迦十大弟子」は、本当に素晴らしい作品だと思います。十人のお名前は、舎利弗(しゃりほつ)摩訶目犍連(まかもっけんれん)摩訶迦葉(まかかしょう)須菩提(しゅぼだい)富楼那(ふるな)摩訶迦旃延(まかかせんねん)阿那律(あなりつ)優波離(うぱり)羅睺羅(らごら)阿難陀(あなんだ)です。
棟方は、「私と宗教」という本の中で、
「以前からわたしの板画は、経典の中から取り出した仏体とか風情とかが多かった。それも華厳経、心経、観音経、その他いろいろの経典を得て、仕事の覚えに頂戴したが、別にその経典の本義を源にして板画を生ましたということではなかった。
つまり、板画を作るというよりも、経典の思いが刀を進めてくれるといった方が本当で、そういう言葉や理屈抜きの世界に遊ばされる訳だが、この世界こそ人間の呼吸が自然の潮の干満と一致するところで、わたしたちを生かし抜いてくれるのだと私は思う。
宗教は経典や神仏像の中にはない。それを思い、それを処するところ、つまりは人間の生活自体が宗教なのだ。」
と述べています。
うーーむ そう思いながら、釈迦十大弟子のお顔を拝見すると、穏やかなお顔ばかりではなく、悩んでいるものもあれば、怒っているものもあります。生きていくことの大変さを感じますが、励ましてももらえます。
ここには、まさに「言葉や理屈抜きの世界に遊ばされ」「生かし抜」かされている棟方志功という稀代の芸術家が居るんだなあと感じ入りました。
国立新美術館で、ダミアン・ハーストの桜を観ました。 大きい作品は縦5メートル、横7メートルもあり、すごい迫力があり、「わー綺麗だなあ」「すごいなあ」と素直に感動しました。 でも日本人の描く桜とは、ずいぶん違うなあと思い…
山下清は、1922年(大正11年)生まれで、今年が生誕100年です。山下清は、鹿児島の桜島をたくさん貼絵などにしているのですが、今年、鹿児島市立美術館で、「生誕100年山下清」展が開催され、私もさっそく行ってきました。 …
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